【新発見!沖縄146】沖縄県、年度内に武力攻撃事態を想定した図上訓練実施へ 〜国の事態認定を待たず、県危機管理対策本部を設置〜

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新発見!沖縄146

沖縄県、年度内に武力攻撃事態を想定した図上訓練実施へ

〜国の事態認定を待たず、県危機管理対策本部を設置〜

(2022年7月5日 八重山日報掲載 )
 前回は、「基地があるから狙われる」「軍隊は県民を守らなかったことは歴史が証明している」という沖縄マスコミのフレーズは、自衛隊の抑止力を低下させ敵の攻撃を招き、更に有事の際の島民の避難を訓練不足で不可能にさせ、逃げ遅れて戦禍に巻き込むことになる危険な思想誘導だということを説明いたしました。この思想誘導が明確に批判できない原因は、沖縄が戦場になった場合、戦前なら日本軍、現在は自衛隊が国民を保護や避難誘導するというという大きな誤った認識があります。正しくは、有事の際、私達が自衛隊に期待すべきことは、敵の排除とそれに伴う避難経路の安全の確保です。そして、航空機や船舶など避難手段の確保は沖縄県に、迅速な避難誘導は市町村に求めなくてはならないとお伝えしました。
 6月19日、「ノーモア沖縄戦、命どぅ宝の会」主催の講演会が那覇市で開催され、具志堅隆松さんが、“有事に140万人が避難するのは非現実的だ”と指摘し、台湾有事を想定し、米軍が南西諸島に臨時の攻撃拠点を置くとの報道に“攻撃すれば沖縄が反撃されるのは当然だ。沖縄から移動すべきは住民ではなく軍事基地だ”と批判しました。これこそ、前述した「基地があるから狙われる」という思想の再発信をしていますが、それに加えて“沖縄から移動すべきは住民ではなく軍事基地だ”という今まで耳にしたことが無い新たなプロパガンダが始まりました。沖縄県議会を始めとする、沖縄県の市町村議会はこのような言説に惑わされていると、国民保護に関わる様々な推進計画や訓練がストップしてしまうことになります。
 しかし、その後わずか2日後、”6月21日、沖縄県議会で、その心配を払拭するような答弁がありました。台湾有事など沖縄への武力攻撃を想定した住民の避難方法について確認する図上訓練を県が今年度末に実施することを明らかにしました。大浜一郎県議の国民保護に関する代表質問への答弁に対する嘉数登知事公室長の答弁です。嘉数知事公室長は、

「現下の安全保障を巡る国際情勢は非常に厳しい状況にあり、万一の事態に備えて、国民保護に関する対処能力の向上を図ることは重要と考えております。関係機関と引き続き協議を重ねた上で今年度末に県独自の図上訓練の実施を予定しております。」

と、答弁しました。
更に、6月27日の宮古島選出の県議会議員、下地一般質問で、
「有事が発生して周辺離島で戦闘が開始した場合、船舶や航空機の安全確保には困難が予想される。消防庁は武力攻撃予測事態でも避難を開始することができると言っている。戦闘が開始してからでは遅い、そこで、武力攻撃予測事態認定を含めて、年齢性別等を区分した避難計画を示すべきではないか?」
下地県議の質問に対して、嘉数登知事公室長は、
「沖縄県は、軍事的な予兆等の情報が入った場合、国の事態認定を待たず、県危機管理対策本部を設置し、情報収集をはじめとする初動体制をとり、国民保護措置の準備を行います。今年度の関係機関との意見交換会では、テーマを初動から事態認定までとしており、軍事的予兆がある段階から国が事態認定するまでの連携のありかたを協議して、年度末までに図上訓練を行いたいと思っております。」
と答弁いたしました。
これは、非常に画期的なことです。なぜなら、沖縄県は現在の国民保護訓練の枠組みでは島民を避難させることは、困難であることを既に理解しており、国や市町村、そして関係機関との事態認定前の連携を最重要視して、図上訓練を行うということです。
沖縄県は革新政権であるにもかかわらず、沖縄県の国民保護行政は、革新団体や沖縄の新聞が扇動とする方向と逆に、全国でトップクラスの危機認識で動き始めているのです。
残るは、市町村です。これについては、次回述べます。