JSN■中国は、すでに日本に戦争を仕掛けている(2)

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昨日の(1)から続いて、中国はどんな戦略のもとに西太平洋を支配しようとしているのか。その点を明らかにしたいと思います。

■中国は、すでに日本に戦争を仕掛けている(2)

●中国の西太平洋支配の野望・・・「戦略的国境論」とは何か

中国は、87年軍の機関誌『解放軍報』で「戦略的国境論」を掲げた。ここで南シナ海、東シナ海、そして日本列島も含めた西太平洋は中国の海だと主張している。

もう少し詳しく説明すると、「戦略的国境論」の考え方はこうだ。国境とは地理的な条件で定められた線ではなく、軍事的な力、経済的な力、政治的な力の総合力であり国力が強まれば、地理的な条件を越えて拡大できる。

たとえば現在米軍は、東南アジアの海に空母を展開する能力がある。つまり米軍は、東南アジア海域の制海権を握り、周辺国に軍事的影響力で囲い込んである。
これが中国から見れば、米軍の「戦略的国境線」である。簡単に言えば、軍事的な影響力を及ぼすことによって国境線は拡大できるという考えである。

●「戦略的国境論」で定めた2段階の中国の西太平洋戦略

中国は、西太平洋の支配の戦略を2段階に分けて考えている。第1列島線と第2列島線2つの列島線を設けて段階的に支配しようという戦略である。

第1列島線は、日本列島、沖縄、フィリピン、インドネシアを結んだ線。つまり、南シナ海、東シナ海。

第2列島線は、日本列島からマリアナ諸島、オーストラリアを結ぶ線。これは西太平洋であり日本列島をスッポリ囲む海域である。

第1列島線は、南シナ海、東シナ海を2010年までに支配する。つまり今年である。
第2列島線は、西太平洋。この海域を2020年から2030年までに支配する戦略だ。

第1列島線を時系列でみると、中国は2000年までの間にほぼ南シナ海の海を支配した。2000年以降は、その触手を東シナ海に伸ばし始める。それが尖閣諸島での中国調査船の出没。さらには、日本を無視した一方的なガス田採掘である。

ガス田問題は、たんなる資源問題ではなく、領海問題も含んである。南シナ海には、たくさんの小島が存在し、それを足ががりに実効支配していったが、東シナ海には、そうした島が少ない。中国にとってガス田採掘の建物は軍事基地にも転用できるわけである。

ここで、中国大陸と日本地図を頭に思い浮かべていただきたい。日本人は、右に日本列島、左に中国大陸を思い浮かべる。しかし、中国はそうではない。

では中国は、日本列島をどう観ているのか。私たち日本人が思い浮かべる右に日本列島、左に中国大陸の地図を左に90度回転してみていただきたい。

そうすると、中国大陸の上に日本列島が横になる。中国から観ると日本列島・沖縄諸島・台湾に蓋をされたように観えるのである。中国が西太平洋にでるためには沖縄から台湾を抜けるルートを確保するしかないのである。その突破口を開くには、第一列島線内の海域を押える必要があるのだ。

なぜ、当ネットワークが沖縄を重要視するか、これで理解していただけると思う。
中国の覇権戦略を封じ込め、日本の安全保障、アジアの安全保障を確保するためには、沖縄、そして台湾は、重要なポイントにあるのである。

中国の覇権を阻止し日本を守るためには、沖縄がポイントであり、また台湾と協力することが最重要なのである。それは、東南アジア全体の安全保障にもつながる。

この第1列島線、第2列島線を押さえることによって中国はアメリカに代わって西太平洋の覇権を握ろうとしている。その時、日本のシーレーンは中国の支配する海となり、中国のご機嫌を伺わなければ日本経済は成り立たなくなる。

すでに中国は、日本の抗議に無視して東シナ海、日本近海、西太平洋の海底の調査を2004年までに終えている。その目的は、米軍艦隊を封じ込めるため潜水艦のルートやその作戦を立てるためである。

2007年、中国は、アメリカに対してハワイから以西を中国が支配すると打診している。さらには、当メルマガでも書いたように、昨年6月には、沖ノ鳥島近海で軍事訓練を実施。日本のマスコミは、産経以外、この報道をしていない。したがって多くの国民も、この事実をほとんど知らない。

次回(3)では、南シナ海で中国がどのようにして領海を拡大していったかを明らかにしよう。南シナ海で起こったことを東シナ海でも中国は行おうとしているのでその中国のやり方を知れば、日本がどのような対処をすれば良いかもわか。

(JSN副代表・ささき)