沖縄自民党県連が、年末、普天間県外移設の方向に変わったということをご存知の方も多いと思います。
名護市長選では、社民党や民主党が大々的に支援し対してほとんど肩入れを自民党はしませんでした。その理由は、普天間基地県外移設の立場にまわったという背景があったからです。
下記のような沖縄県議会の様子をほとんどの大手マスコミは取り上げませんが、沖縄の県議会は、日本の大手新聞が取り上げるほど、普天間基地移設辺野古賛成か、反対かという白黒はっきり分かれているわけではない複雑な感情を持っていることもわかります。
そんな沖縄の感情を生み出したのも、民主党が安全保障という国が決めなくてはならない重要な問題を、沖縄に丸投げした結果ではないでしょうか。
■「普天間基地県外移設」VS「県内移設反対」で割れた沖縄県議会
下記は、沖縄県議会議員で普天間飛行場の辺野古移設反対の全会一致の決議の調整を進めていたのですが、失敗に終わったというニュースです。この県議会議決がとおれば、仲井真知事は孤立し厳しい立場に追い込まれ、普天間基地問題の迷走する確率が非常に高くなるところでした。
しかし、下記の新聞記事を読んでも意味がわかる方はほとんどいないと思いますので解説したいと思います。これが理解できれば、沖縄の政治通といえると思います。
決裂した理由は、決議文において自民党は「県外移設」の文言を、共産系は「県内移設反対」の文言を要求した事です。何故、それぞれその文言にこだわるのでしょうか。
実は、共産党系は安保破棄闘争を行っている数多くの団体を支持組織として抱えています。安保闘争勢力にとって「基地反対」は重要な闘争材料なのです。
「沖縄に基地はいらない!」「ジュゴンのすむ海に基地はいらない!」というスローガンが重要なため「基地反対」→「県内移設反対」でなければならないのです。
一方複雑で理解しにくいのが自民党です。沖縄自民党県連は本来辺野古移設賛成のはずです。しかし、自民党県連は昨年11月末の議員総会で、鳩山政権が年内に政府方針を決めなければ、県外移設を要求するとしていました。そして、今年1月に「県外移設」へ舵を切ったのです。その本心はいったい何なのでしょうか?
その心の一端が見えるのが下記の翁長市長の挨拶です。
<昨年11月の新基地建設反対における翁長市長の挨拶より抜粋>
※下記記事の翁長県議会議員と別人です。
http://www.city.naha.okinawa.jp/sisei/pr/simin/pdf/0912/s0912_2.pdf
鳩山政権の国会での答弁は、県外についての検証が全くなされておりません。県内だけとなっています。前政権の日米合意の重さについても、政権交代をするまで理解していなかったのでしょうか。
誠に情けない限りと言う他ありません。日本の安全保障に真剣に向き合ってきた県民にとっては、その事は当たり前のことであります。私たち県民は、鳩山政権に、それを乗り越える政治力を期待したのです。しかしながら今、現状は、13年前にタイムスリップしたような感覚さえ覚えます。
鳩山さんに強く、申し上げたい。普天間基地移設問題について、名護市長選挙の結果を見て判断するなどという主張は言語道断です。名護市民に何回、踏み絵を踏ませるのか。人間の忍耐の限界をはるかに超える騒音に悩まされている嘉手納基地周辺の人々の気持ちをわかって欲しい。そして、これ以上沖縄の人々を対立させないでいただきたい。
もし、県外移設の決断が出来ない場合には、少なくとも沖縄県内では友愛という言葉は封印していただきたい。これは私からの激励の言葉であり、県民からの激励と期待の言葉だと思ってください。
上の記事で最も本心が現れている言葉は、
「もし、県外移設の決断が出来ない場合には、少なくとも沖縄県内では友愛という言葉は封印していただきたい。これは私からの激励の言葉であり、県民からの激励と期待の言葉だと思ってください」
という部分です。
つまり、自民党沖縄県連の「県外移設」の本心は、民主党政権の普天間基地移設の対応にあきれて「さじを投げて、民主党政権へボールを投げた」とうことです。
「約束をしたのだから責任を持って県外移設を責任を持ってやり遂げてください!」(どうせ不可能だとおもいますが。。)
だから、「県外移設」という言葉にこだわるのです。
しかし、ここで問題なのは沖縄自民党県連は、日本の安全保障に責任を持った対応をしていないことです。大人の態度をとっているのは、仲井真知事のみで、沖縄自民党県連は、無責任でいじけた子供の態度のように見えてしょうがありません。
自民党県連は、民主党政権にボールを投げた結果、日米安全保障条約が破棄になったら責任をとれるのですか?
中国が尖閣諸島を虎視眈々と狙って、手を打ってきていることをしっているのですか?
沖縄が中国の植民地になっても良いのですか?
という事を私は聞いてみたいと思うのです。
(JSN代表・仲村)
【琉球新報 2010年2月18日】
<普天間決議 揺れる全会一致 「県外移設」で平行線>
http://ryukyushimpo.jp/news/prentry-157717.html
県議会2月定例会の前半戦最大のヤマ場となっている米軍普天間飛行場移設問題に関する県議会決議は、18日から始まる代表質問冒頭での可決は困難となった。
県政与党の自民党県連が県外移設へとかじを切り、県議会として初めて与野党を超えて県内移設に反対する意思を示せば、県内移設の選択肢を残している仲井真弘多知事の答弁姿勢に影響を与える可能性もある。しかし、与野党間の調整は「県外移設」の文言をめぐって難航し、全会一致の見通しは立っていない。
17日、自民会派の翁長政俊氏と共産会派の嘉陽宗儀氏が県議会内で協議。「県民にこれ以上の基地負担を強いることはできない」との認識を共有したが、表題に「県外移設」を入れるかどうかについて議論は平行線をたどった。
翁長氏は「民主政権に公約順守を突き付けるためにも“県外移設”を入れないと会派内をまとめられない」と主張。これに対し、嘉陽氏は「県外移設では『移設先を探したが、やはり県内しかなかった』という口実を政府に与える。なぜ“県内移設反対”という一致点で提案できないのか」と応えた。
野党内には「退場者を出さない全会一致を目指してきた。反対が出るなら提案の意味はない」との意見も上がる。今後の展開次第では、与党と共産がそれぞれに意見書案を提出し、他の野党会派が板挟みになる事態も想定されている。
政府は5月末までに移設先の結論を出すとしており、「このまま今定例会が県議会の意思表示ができなければ、県民の反発は必至だ」として打開策を求める声も出ている。(与那嶺松一郎)