【書評】「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成30年(2018年)4月20日(金曜日)弐通巻第5679号

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018年)4月20日(金曜日)弐
通巻第5679号
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ペリーは日本に来る前に沖縄に寄港し、そのあとも沖縄へ寄港していた
明治維新はペリーの沖縄来寇から始まり、廃藩置県の最終処分(沖縄県)で終わった

仲村覚『沖縄はいつから日本なのか』(ハート出版)

https://goo.gl/2LUqNF

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沖縄の歴史に関して、現代日本にはまともな解説書も歴史探究書もない。学校で教わる沖縄の歴史はウソのオンパレードである。
あるのは、デマゴーグ大江健三郎が書いた『沖縄ノート』とか。要するに沖縄は独立国家であり、沖縄は日本の大東亜戦争の犠牲にされた、それゆえヤマトンチューを恨んでいるとか、沖縄は独立王国だったのだから独立してしかるべきである、とか。
沖縄の二紙(『沖縄タイムズ』と「琉球日報」)は極左で、主張は極左冒険主義的であり、背後に中国の世論工作があるかと思えるほどに反米であり、つねに反政府であり、それが民意だと誤解したらトンデモナイ。沖縄の民衆は沖縄二紙とはまったく違う考えを持ち、基地反対とかいって騒いでいるのは本土からやってくる外人部隊である。
沖縄は一貫して日本なのである。
本書はそのことを証明する「真実の沖縄史」であり、記述は簡単明瞭だが、力強い。
ところが左翼による洗脳工作が教科書にもおよび、多くの日本人が沖縄の実相を誤解している。GHQの洗脳工作の残滓はいまだに強烈な影響力を発揮して、沖縄の理解を真相から遠ざけている。すなわち沖縄二紙を基軸とする左翼のプロパガンダは、あたかも南京大虐殺、慰安婦強制連行のプロパガンダと同様に悪質なのである。
真実はこうである。
「琉球が明や清の属国であったことは一度もありません。琉球人は、中国語を母国語として話したこともありませんし、中国に税金を納めていたこともありません。琉球に中国の役所があったこともありません。清の時代に、漢民族のように辨髪を強制されたこともありません。明や清は、単なる貿易相手国」でしかなかったのである。
もっと重要なことは、「沖縄は日本で最も大陸文化の影響を受けていない地域」(68p)。
沖縄に伝わる音楽でも、そのことは証明されている。『日本民族の魂の原点』が残っているとも仲村氏は言う。
沖縄がイメージとして「外国」のように扱われたのは薩摩の政策だった。薩摩が意図的に沖縄を外国のようにみせて、通商を独占する合法性を得たと同時に、幕府への発言力を担保できた。パリ万博に出展したときも、薩摩の勲章は「薩摩琉球」であった。
ペリーは日本に来る前に沖縄に寄港し、そのあとも沖縄へ寄港した
明治維新はペリーの沖縄来寇から始まり、廃藩置県の最終処分(沖縄県)で終わった

さて本書で評者(宮崎)が初めて知った事実がある。
ジョン万次郎は薩摩が保護し、大抜擢したことは誰でも知っているが、万次郎が上陸したのは沖縄県糸満市大度濱海岸であった。万次郎以下三人だった。かれらは七ヶ月も勾留され監視されていたが、島津齋彬が英語を操る日本人がいると聴いて鹿児島へ呼びよせ、以後の大活躍が始まる。
この同時期に琉球には英語を操る通詞がいた。牧志朝忠という言葉の天才だった。シナ語、フランス語も駆使し、ペリーが沖縄に来寇したときの通訳である。ペリーは、牧志の英語力に舌を巻いたほどだった。
ところが齋彬の急死によって事態は一変し、反齋彬派が琉球王府内で勢力を回復し、牧志らは冤罪で捉えられ拷問された。十年の流罪を言い渡されるが、薩摩は英語教師を必要としていたため、牧志に薩摩からの呼び出しがあった。釈放され。その薩摩へ向かう舟から飛び降りて自殺した(謀殺説も有力)。これにより琉球王府は貴重な國際感覚をもった人材を失った。
ところで本書はアマゾン国際政治部門で、第一位をつけ、多くの注目を集めていることは悦ばしい。