表題のように、開戦前夜のような非常にショッキングな報道が流れています。しかし「日本の報道機関以外」という条件が付きます。
このニュースは、聞き流すことができるような情報ではありません。開戦の危機の実態はどの程度のものなのか?また、いつ頃の開戦を想定して海軍増強の指示をしているかということです。
来年なのか3年後なのか、5年後なのか?そのあたりを念頭にいれながら複数の報道を確認してみたいと思います
まず、イランのラジオ放送局の報道をみてみましょう。
<中国国家主席が海軍に戦闘準備を要請>
(イラン ジャパン ラジオ 2011年 12月 08日木曜日 16:55 )
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23439:2011-12-08-12-31-33&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116南シナ海の領土問題を巡る中国とアメリカの緊張が高まる中、中国のコキントウ国家主席が、海軍に対して戦闘に備えるよう呼びかけました。
イギリスの衛星テレビ局スカイニュースによりますと、コキントウ国家主席は、7日水曜、首都北京で開かれた中央軍事委員会の会議で、海軍に対し、世界平和と国家の安全保障にさらに貢献するため、軍備の改良を加速し、軍事闘争への備えを拡大させるよう求めました。
中国は、11月末に「南シナ海で海軍の軍事訓練を行う」と発表していました。
また、温家宝首相も、先月、戦略的で豊かな資源を有する南シナ海の領土問題など、地域の対立に外国軍が干渉することについて警告を発しました。
中国は台湾と同様、この海域の完全な領有権を主張していますが、南シナ海については、東南アジアの4カ国もその領有権を主張しています。
今年初め、アメリカの国防総省は、「中国政府が海軍の増強に力を入れており、高性能の武器購入に多額の投資を行っている」と警告しました。
冒頭のフレーズでは、「胡錦濤国家主席が海軍に戦闘準備を呼びかけた」とありますが、詳細の説明文では、「軍備の改良を加速し、軍事闘争への備えを拡大させるよう求めました。」となっています。
表題で感じる突撃命令のような印象とは異なり、「海軍の装備を向上させよ!」という現実的な指示である事がわかります。
次に、米国のNEWS WEEK誌も報道しています。
<胡錦濤、海軍に「戦争に備えよ」>
~南シナ海領有権問題などで周辺国と対立する中国が着々と進める軍備増強の本気度~2011年12月07日(水)16時37分
エミリー・ロディッシュ(臨戦態勢 人民解放軍の中心は陸軍だが、海軍も存在感を増している。Reuters)
中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家首席が12月6日、中国海軍に対して戦闘に備えるよう呼び掛けた、と報じられた。
胡は中央軍事委員会に対し、海軍は「変革と近代化を断固として加速させ、国家の安全保障と世界平和にさらなる貢献をするために、軍事闘争への備えを拡大させる」べきだと語った。
中国国営・新華社通信の英文記事では、胡が軍に「戦争」への備えを拡大するよう呼び掛けたと翻訳された。
だがAFP通信によれば、「戦争」はちょっとした拡大解釈だ。胡の演説に登場した「軍事闘争」という言葉は、「軍事的な戦闘行為」や「軍事的な戦い」とも翻訳出来る。
胡の発言の一方で、中国海軍の活動は周辺諸国の懸念事項になっている。中国は11月末、周辺国と領有権争いが起きている南シナ海で海軍の軍事演習を行うと発表した(どこか特定の国を標的としたものではないと主張している)。
■空母は本当に訓練用か
最近のバラク・オバマ米大統領の姿勢を考えれば、中国のこうした行動は想定内の反応だ。アメリカは太平洋地域における影響力を強めようと、アジアでの動きを活発化させている。オバマは11月に訪問したオーストラリアで、米海兵隊員2500人を同国に駐留させる計画を発表。これに対して中国は予想通り、苛立ちの反応を見せた。
約300万人の兵士を擁する世界最大の軍隊、中国人民解放軍は陸軍が中心だ。それでも海軍は確実に存在感を増しつつある。
この夏、中国海軍は「秘密」で進められていた空母開発計画の存在を認めた。空母は象徴的な意味合いの大きい存在で、中国側も実験・訓練用だとしている。だが一般的な認識からすれば、8月に行われた初の試験航行は周辺国との緊張をあおりかねない大胆な行動だった。
胡の言葉も、同じような波紋を呼ぶ可能性がある。
(GlobalPost.com特約)
このニュースも同じく、タイトルは、「戦争に備えよ」と過激な表現ですが、本文では、戦争とは「拡大解釈」だというAFP通信の意見も記載しています。
では、その胡錦濤の真意はどこにあるのでしょうか?
最も、中国共産党の意見を正確に伝える人民日報ではどのように報道されているのでしょうか?ネット版の人民日報である「人民網日本語版」で確認してみましょう。
<胡錦濤総書記「海軍の近代化を着実に推進せよ」>
(「人民網日本語版」2011年12月7日)
http://j.people.com.cn/94474/7668841.html胡錦濤・中共中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)は6日、海軍第11回党代表大会と全軍装備事業会議の各代表とそれぞれ面会した。胡総書記は海軍機関文化活動センターで海軍党代表大会の代表と親しく面会し、活動報告を受けた。胡総書記は「海軍のモデル転換を加速し、軍事闘争への備えを拡充・深化し、海軍の近代化を着実に推進し、国家の安全と世界の平和を守るために一層貢献しなければならない」と強調した。(編集NA)
人民網日本語版の表現では、短い文章で「海軍の近代化」に重点が置かれるかれています。つまり、アジア回帰をした米軍に対抗するためには、どうしても海軍の近代化が必要だと胡錦濤は考えているところが伺えます。
最後に、大紀元という新聞が報道していますので参照してみましょう!
<胡錦濤・国家主席、海軍の近代化発展を促す、米国はやんわりとけん制>
【大紀元日本12月8日】
http://www.epochtimes.jp/jp/2011/12/html/d92924.html中国の胡錦濤・国家主席は軍の最高指導者・中央軍事委員会の主席として、海軍幹部との談話のなかで、軍備施設の近代化を一層進めるよう促し、「軍事闘争への準備をより緻密に整える」と命じた。さらに「国家の安全を守り、世界の平和を維持する」ため、より大きな貢献を行うよう指示した。
ここ数年、中国政府はアジア諸国との間で領有権の紛争が続いている。日本とは東シナ海で、ベトナムやフィリピンなどの国とは南シナ海で、主権の争議が激化しているため、中国海軍の発展も中央の中でますます関心が高くなっている。
同主席がこの談話を発表する前、米国のオバマ大統領やバネッタ国防長官、クリントン国務長官はアジア太平洋地域の一部の国への訪問を終え、同地域での米国の軍事配置の増強を明確に示したばかりだ。
このような状況下で米国防省は今回の胡主席の談話について、過度な反応は見せていない。中国は軍事力発展の権利があるとしながら、米国の要望に応じて、完全な透明度を保つべきとけん制した。
米国防省のリトル報道官は、米国は中国政府に対して、何度も軍事力透明度の問題を呼びかけていると述べ、これは米国が引き続き中国と軍事関係を発展するための重要な一環である、と強調した。米国国務省のトナー報道官も同様の見解を示し、中国の軍事力透明度の改善は、中国の軍事発展の意図に関する米国側の疑念の払しょくに有益だと述べた。
(翻訳編集・叶子)
この記事で新たに解ることは、この胡錦濤の発言は、東アジアサミットで前後で、米国がアジア回帰をし南シナ海での軍事配置の増強を示したことに対する、反発であるということです。
そして、もう一つは、米国が最も懸念している事は、中国の軍事力は不透明であるという事です。
では、現在中国はどのような軍事力の近代化方針を持っているのでしょうか?
ちょうど、東アジアサミット直後に人民網日本語版で報道された人民解放軍の戦略が報道されています。
<中国、解放軍戦略計画部設置 軍強化決意を示す>
(「中国網日本語版 チャイナネット」 2011年11月25日 15:36:20)
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2011-11/25/content_24006190.htm人民解放軍戦略計画部が22日、正式に北京に設置された。今年に入って人民解放軍は体制改革に向け新しい措置を次々と打ち出しており、軍強化に向けた鮮明な道筋が伺える。香港紙・大公報が伝えた。
今年6月30日、総参謀部情報化部が成立。翌7月には総参謀部情報保障基地が北京に設置された。総参謀部によると、これは軍の改革深化、軍の情報化強化を集中統括する重要な措置だという。戦略計画部の設置によって総参謀部には核心部門がまた一つ増え、軍の指揮中枢の職能が京華時報された。
同時に、人民解放軍は今年士官学校の大改革を実施、新スタイルの士官学校が多く誕生した。士官学校の大改革は優れた教育資源を統合し、教育の効果と的確性を高めるねらいがある。
胡錦涛主席は今年7月1日の中国共産党設立記念日の談話で、建軍戦略構想について論述した。新世紀の新段階における軍の歴史的使命に着眼し、国防と軍の科学的発展の推進をテーマに、軍事闘争の準備を進め、情報化の下で軍事訓練を積極的に行い、クオリティの高い人材を育成し、国防と軍の改革を積極的かつ着実に推し進め、情報化に打ち勝った上で戦争能力を核心とする多様な軍事任務能力を全般的に高めるよう求めた。
経済社会改革を全面的に展開すると同時に、軍も同様に国内・国際情勢の変化に応じて改革を行う必要があり、これは戦略的、全局的な角度から「トップダウン設計」し、軍の戦略資源の総体的配置を最適化し、国防と軍建設の大方針の展望性を高めることが求められている。
新たに設置した戦略計画部は実はこうした使命を担っている。「トップダウン設計」の本質は戦略設計の発展であり、まず戦略目標を確定し、戦略実施手段を計画しなければ、各大本部、各大軍区、各軍兵種が大戦略の枠組みの下、各方面の軍事建設をうまく行うことができない。これが人民解放軍の総合的な集成度を更に高めるといえる。
この記事で述べている、「健軍戦略構想」とはおそらく、胡錦濤が海軍に要望した「海軍の近代化」一致していると考えられます。
つまり、この方針がわかれば、人民解放軍はどのような戦略で、米軍、もしくは日米同盟に対して軍事闘争を勝利に導こうとしているのかがわかります。
理解を深めるためにこの記事で重要と思われるキーワードを抜き出してみます。
「総参謀部情報保障基地」
「軍の情報化強化」
「健軍戦略構想」
「軍事闘争の準備」
「情報化の下で軍事訓練」
「情報化に打ち勝った上で」
「多様な軍事任務能力」
「トップダウン設計」
以上です。
この中で、一際目立つ言葉は、「情報化」という言葉です。
最も重要なフレーズは、次の文章です。
「情報化の下で軍事訓練を積極的に行い、クオリティの高い人材を育成し、国防と軍の改革を積極的かつ着実に推し進め、情報化に打ち勝った上で戦争能力を核心とする多様な軍事任務能力を全般的に高めるよう求めた。」
この情報化という言葉は「情報化技術」とも捉えることもできますし、「情報管理能力」とも捉えることができます。
しかし、どちらとも捉えることのできない表現があります。それは「情報化に打ち勝った上で」いう言葉です。
この情報化という言葉を文脈から推測すると「サイバー戦争」という意味ではないかと思います。
つまり、意訳すると次のようになります。
「サイバー戦争の軍事訓練を積極的に行い、「サイバー戦争を戦える」人材を育成し、国防と軍をサイバー戦争に適用できるよう改革を積極的かつ着実に推し進め、サイバー戦争に打ち勝った上で従来の通常兵器の能力を核心として情報工作や政治工作、マスコミ操作などを含む多用な軍事任務能力を全般的に高めるよう求めた。」
これは、私の個人的な推測にすぎませんが、このように理解すると人民解放軍が現在どのような手を打っているかが理解できるような気がします。どのように対応するべきかは、後日のブログで検討したいと思います。
日本における最大の問題は、このようなニュースを国内マスコミが一切報道していない事です。そのため、本来なら日本政府が行うべき、敵国の情報収集、分析、国内への伝達など、情報戦にかかわる一切の活動を私達民間の有志が行わなければなりません。
これは、情けない状態ですが明治維新の時と全く同じ状態だと思います。
既に中国との戦争は、始まっており、武力行使の時期も近づいています。
祖国日本を守るために、是非皆様で力を合わせて戦ってまいりましょう!
(仲村覚)