沖縄対策本部長■危険水域に突入する米・イラン間の緊張、イランの核開発とサイバー攻撃

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日本では、ほとんど報道されないのですが、決して他山の石ではないので、前回に引き続きイランに関するニュースをお伝えします。

これまで、東アジアサミットをきっかけに米中冷戦は始まったと伝えてきました。

そして、11月29日のブログでは、<もう一つの米中冷戦の最前線、「イランの核開発」>という記事を描かせていただきました。

しかし、イランの火種は核開発だけでなく、サイバー攻撃能力もある事がわかりました。

イランラジオ放送「イランは、米国のRQ-170型無人機を制御し、ほとんど破損することなくそれを着陸させることに成功した」と報道しました。

また、グーグルのエリーク・シュミット会長が、「イランが、サイバー作戦の領域で異常な才能を持っている」ことを認めました。

■イランは台湾統一のための米軍揺動作戦の可能性

中東でのイランと米国の衝突は日本にとっては決して対岸の火事ではありません。

東アジアの火薬庫は、朝鮮半島と台湾ですが、両国ともその本当の発火源は中国共産党です。

中国の世界戦略にとって最も重要なのは台湾の統一です。

その台湾では、ご存知のように、来月1月14日には、台湾の総統選の選挙が行われ、中国政府は国民党の馬英九の指示を表明しいています。

中国共産党は、大陸で内戦を争った国民党を平和統一の工作線として篭絡し、平和統一協定を締結する事を狙っているからです。

この平和統一協定は、中華民国政府、憲法、国号を廃止し、事実上中華民国を解体・併合する事を謀っているのです。

中国では来年の秋に共産党第18回党大会が開催され、胡錦濤から習近平への指導者の交代が行われるとされていわれており、この党大会では、台湾統一の祝賀会とする事が2002年から決まっています。

しかし、これが実現しない場合の手も考えています。胡錦濤は、最近海軍に対して軍事闘争の準備を要請しました。

胡錦濤が軍隊を動かす理由は二つ考えられます。

(1)党大会までに台湾統一を実現するという至上課題を達成するため。(小平の遺言)

(2)習近平への全権力の移行を行わず権力を保持するため。(中国共産党中央軍事委員会主席を継続など)

(2)は権力を全て習近平に渡すと自分が失脚に追い込まれる危険性があるので、台湾有事を起こし、権力の座にいつづける事を考えている可能性があるということです。

しかし(1)は米国と戦争が回避できないので中国にとってもあまりにもリスクが高い選択です。そのために米国の戦力をどのように分散するかを当然考えると思います。

私のシミュレーションで中国共産党がおそらく打つであろうと考えられる作戦が次の3点です。

(1)イランを支援し中東で有事を起こし米国軍を中東へ揺動する。

(2)北朝鮮を支援し朝鮮半島で有事を起こし米軍と自衛隊を朝鮮半島へ揺動する。

(3)普天間問題など沖縄を起点に反米運動を扇動し、日米関係に亀裂を入れ、日米の作戦行動が行えないようにする。

この3点が同時に行われた場合は、人民解放軍は簡単に台湾を武力統一を行う事が可能になります。

私の見解では、上記3点とも既に工作は始まっており、いつでも着火する事が可能な体制になっていると警戒しています。

日本は軍事的には、(1)と(2)を最大限に警戒し、内政的には(3)を警戒しなければならないという事です。

そのような中でのイラン有事につながりかねないニュース4点です。

是非、ご一読ください。

(仲村覚)


<イランの核兵器保有を阻止=イスラエル防衛に決意-米大統領>

(時事ドットコム 2011/12/17-10:03)http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011121700115

【ワシントン時事】オバマ米大統領は16日、ユダヤ系団体の会合で、イスラエル防衛に関与する米国の決意を改めて表明する一方、「イランの核兵器獲得を阻止する」と述べた。

大統領は「われわれ以上にイスラエルの安保に関与した米政権はほかにない」と言明。パレスチナによる国連加盟を通じた国家承認の動きに関し、「国際機関を使ってイスラエルの合法性を否定する試みに反対する」と断言した。

<米紙、イランはRQ-170型機のGPSを制御>

(イランラジオ放送 2011年 12月 17日土 17:57 )
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23722:2011-12-17-13-28-55&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

アメリカの新聞、クリスチャン・サイエンス・モニターが、イランはアメリカ軍の無人偵察機のGPS・全地球測位システムを制御することで、この無人機を着陸させることができたと主張しました。

この新聞は、米軍無人機RQ-170型機へのイラン制御方法に関する技術的な報告の中で、「イランは、RQ-170型無人機を制御し、ほとんど破損することなくそれを着陸させることに成功した」としています。

この報告によりますと、イランがアメリカの明らかな管制システムの弱点を利用できた一方で、こうした中、アメリカ軍は、かなり以前から、この弱点を知っていたということです。イランのサイバー戦争の専門家たちは、無人機RQ-170型機とその管制センターの通信を遮断する能力があり、現在も、問題の無人機に搭載されている機密情報を手に入れようとしています。

クリスチャンス・サイエンス・モニターは興味深い点に触れており、「イラン人の専門家たちは、問題の無人機のGPSを制御し、イランの領土を件の無人機の基地があるアフガニスタン領土と取り違えるようGPSをかく乱し、無人機を着陸させた」としました。

また、「この無人機に搭載されたGPSは、弱点のあるシステムであり、それにノイズを生じさせることで、実際、ある意味で無人機の管制システムが無能になると言えるだろう」としています。

<グーグル会長、サイバー作戦でのイランの能力を容認>

(イランラジオ 2011年 12月 17日(土曜日) 16:59 )
http://japanese.irib.ir/index.php?option=com_content&view=article&id=23714:2011-12-17-12-31-20&catid=17:2010-09-21-04-36-53&Itemid=116

グーグルのエリーク・シュミット会長が、イランが、サイバー作戦の領域で異常な才能を持っていることを認めました。

シュミット会長は、フォックスニュースのインタビューに応じ、「アメリカは、サイバー分野でのイランの能力の度合いを正確に知ることができないでいる。だが、いずれにせよ、このことは、アメリカにとって脅威である」としました。

シュミット会長は、イラン軍による米軍偵察無人機の制御に関する質問に対し、「これに関する情報は機密であり、我々はそれを入手できない。しかし、イランはこの作戦に成功したとされることに対する懸念は常に存在し、我々も常にそれを懸念すべきである」と述べました。

アメリカの新聞、クリスチャン・サイエンス・モニターは、米軍無人機RQ-170に対するイランの制御方法に関する技術的な報告の中で、「イランは、RQ-170型無人機を制御し、ほとんど破損することなくそれを着陸させることに成功した」としています。

この報告によりますと、イランのサイバー戦争の専門家たちは、無人機RQ-170型機とその管制センターの通信を遮断する能力があり、現在も、問題の無人機に搭載されている機密情報を手に入れようとしているということです。

さらに、スイスのある新聞も報告の中で、「イランは、アメリカの無人偵察機のコードを解読する能力を持っている」としています。

アメリカのオバマ大統領は、最近、イランとのサイバー戦争に敗北した事を認めると共に、イランに対し、アメリカの無人偵察機の引き渡しを求めました。

イランの政府関係者は、「イランに制御された無人機はイランのものであり、アメリカに引き渡されることはない」としています。

<米国の無人偵察機はイランのサイバー攻撃で落とされた?>

(日経ビジネスオンライン 2011年12月16日 金)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20111214/225192/?P=1

(イラン国内で撮影された米国の無人偵察機RQ-170 AP/アフロ)

米国の軍事・諜報関係者の間では今、米国の超ハイテク無人偵察機がイラン軍の手に落ちた話題で持ちきりだ。

12月8日、米国のメディアはイラン国営放送が米国製の無人機の映像を公開したニュースを一斉に報じ、イランがどうやってこの無人機を落としたのか、無人機に積まれているはずの極秘データがどうなったかなど、様々な情報、分析や憶測を伝え、知られざる米・イラン諜報戦の一端に光を当てた。

「最近、我々が収集したインテリジェンスと正確な電子監視により、この航空機がスパイ活動のために我が国の領空内に侵入しようとしている事実を突き止めた。そしてこの航空機は、我が国の東部に侵入した後、我が軍隊の仕掛けた罠に落ち、機体への損傷を最小限に抑えたまま落とされた」

イラン国営テレビに登場したイラン革命防衛隊のAmir Ali Hajizadeh准将はこう述べて、イラン軍が「洗練されたサイバー攻撃」を使って米国の無人機をほぼ無傷のまま落とした、という俄に信じ難い説明を得意げにしてみせた。「この無人機は、非常に高度な偵察、データ収集、電子通信やレーダーシステムを搭載している」と同准将は続けて述べ、この極秘情報とハイテクシステム満載の最新兵器を手にしたことの重要性を強調した。

米政府はこの無人機が落ちた原因について正式なコメントを出していない。だが、アフガニスタンで軍事作戦を実施中のNATO軍が12月4日に、「イランで墜落したとされる航空機はおそらくアフガン西部で偵察任務についていたものの、故障によりコントロールが不能になっていた無人偵察機の可能性がある」との声明を発表している。同じように米政府筋からは基本的に「故障により墜落した」との情報が流されている。

イランが米国製の無人機をサイバー攻撃で落とせる能力を有しているのかどうかは全く不明なのだが、米国の無人機が故障によりコントロールが効かなくなって墜落した事例はこれまでにも数多く存在する。ウィキリークスの機密文書には、米軍の無人機が故障で墜落し、その機体の回収に苦労した話や、コントロールの効かなくなった無人機を撃墜するために戦闘機が送られたエピソードなどが数多く含まれており、このハイテクの塊には、やはり故障がつきものであることが明らかになっていた(「曝されたCIAと米軍特殊部隊の『秘密戦争』」)。

■気勢の上がるイラン強硬派

米国はアフガニスタン西部のイランとの国境に近いシーンダンドに航空基地を構え、そこを拠点にイランに対する偵察活動や特殊作戦任務を実施していると伝えられている。今回イランが獲得した米ロッキード・マーティン社製の「RQ-170」は、ステルス性能を施した秘密性の高い無人機である。今年の5月にパキスタンの北部アボッターバードで米特殊部隊がオサマ・ビン・ラディンを殺害する作戦を実施した際に、ビン・ラディンの隠れ家を上空から監視してライブのデータを送信し続けた秘密兵器として一躍有名になった代物だ。

こうした無人偵察機は、偵察衛星のように特定のターゲットの上空を数分間のみ撮影するのではなく、長時間にわたってターゲットの上空にとどまって監視活動をすることが可能である。特定の場所を継続的に監視することで、そこにどんな人たちが出入りしていてどんな物が運び込まれているか、などより詳細な情報を収集することができる。また、高性能のビデオカメラの他にも、通信傍受機器や放射性物質の探知機等も搭載されており、広範な情報収集を可能にする。

アフガニスタン国内の作戦に関しては米軍が各種の無人機を運用しているが、アフガニスタン以外の国々、例えばパキスタンやイラン、それにイエメンやソマリアでの秘密作戦においては、米中央情報局(CIA)が無人機を運用しており、今回イランで落とされた無人機もCIAの所属だとされている。ちなみに今回イランの手に渡ったRQ-170は、CIAがパキスタンでミサイル攻撃を行う際に使っている無人機「プレデター」とは別の機種であり、ミサイルは搭載していない。

先のNATO軍の発表では、まるでアフガニスタン国内で使用されていた無人機が故障してイラン国内に入ってしまったかのような印象を受けるが、アフガニスタン国内でステルス性のRQ-170を使う意味はあまりない。NATO軍がアフガニスタンで戦っている武装勢力タリバンは高度なレーダーなど使用しておらず、何もステルス性の無人機を使う必要はないからだ。

今回イラン軍の手に落ちた無人機がどのような理由で墜落したのかは不明だが、これがイランに対するスパイ活動のためにCIAが使用していた無人機であることはほぼ間違いなく、米国にとって打撃であることも確かであろう。

12月11日にイランのFars News Agencyは、「当然、世界のすべての先進国、特に米国と諜報戦争を行っている国々は、この航空機の詳細を知りたいと強く思うだろう」というHossein Salami准将の言葉を引用して、イランが中国やロシアとRQ-170に関する情報を共有する準備があることを示唆したことを伝えた。米インテリジェンス・コミュニティにとっては悪夢のシナリオだろう。

「このハイテク無人機が落とされて以来、米国人たちはこの無人機のシステムの中身であるインテリジェンスについて懸念していることだろう。だが、米国人たちは知るべきだ。イラン・イスラム共和国は高度な先進技術を用いて、間もなくこの無人機システムに含まれるインテリジェンスやデータを解読することができるということを」

イラン議会の国家安全保障・外交政策委員会に所属するSeyed Hosssein Naqaviの自信に満ちたコメントもFars News Agencyに紹介されている。イラン国内では、秘密のベールに包まれた米国の最新型無人機を落としたことで、相当強硬派の気勢があがっているようだ。

■危険水域に突入する米・イラン関係

米国にとって、この無人機を使ってどのようなターゲットに対して偵察活動を実施していたのか、データのクオリティはどのようなものなのか等、その諜報活動の実態が敵対国や競争相手に知られることは、マイナス以外の何物でもない。イランは当然「防空」という観点からこの無人機の脆弱性についても徹底的に調べることだろう。

このように諜報戦争で相手に得点を与えないため、米国は故障などで墜落した無人機は可能な限り回収するように努めてきた。今回も米政府はいくつかの手段で「墜落した」無人機をイラン政府の手に落ちる前に回収または破壊しようと計画したことが伝えられている。

12月7日付の『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、米政府内で、アフガニスタンで活動中の米特殊部隊をイラン国内に潜入させるか、もしくはイラン国内で活動中の同盟国のエージェントを使って機体を回収もしくは破壊させる計画が検討されたと報じている。また墜落した無人機を空爆して破壊する案も検討されたという。しかしいずれの案も、イランとのより大きな衝突に発展する危険性が高いことから断念されたという。

イラン政府はこの米国による領空侵犯について12月8日に国連安全保障理事会に対して正式に抗議の書簡を送っている。「イラン・イスラム共和国に対する米国政府による挑発的で秘密裏の作戦は過去数ケ月間増大し一層激しくなっている」とイラン政府はこの中で説明している。

ここでイラン政府が「過去数カ月間増大し一層激しくなっている」と指摘している点は興味深い。

米政府は、11月上旬に国際原子力機関(IAEA)がイラン核問題に関する四半期毎の報告書を発表しイランの核兵器開発疑惑を痛烈に批判したのを受け、イランに対する経済制裁をさらにエスカレートさせた。オバマ政権はイランに対して「経済戦争」は実施しているものの、上述した無人機回収作戦を諦めたことでも明らかなように、イランとの直接的な軍事的衝突は望んでいない。イランを国際的に孤立させ、経済制裁の実効性を高め、イランの核開発を遅らせるのが、同政権の対イラン政策の柱である。そうすることでイスラエルによるイラン攻撃も思いとどまらせることができると考えていることだろう。

しかしそのためにも、イランの核開発計画に関する情報収集が不可欠である。特にオバマ政権はイランの秘密の核開発活動を暴き、イランの「悪意」を世界に示すことで、米国の政策に対する国際的な支持を集め、イランをさらに孤立させることを狙っている。11月22日に、トム・ドニロン国家安全保障問題担当米大統領補佐官が、米ブルッキングス研究所で開催されたシンポジウムで次のように述べていた。

「我々はイランのいかなる核関連の活動であっても察知できるように精力的に活動を進めるだろう。我々はそうした(秘密の)計画を暴露し、イランを国際的な査察の下に置くのだ」

オバマ政権がイランの核関連活動を察知するために精力的な活動を行っているため、過去数カ月間、無人機を使った偵察活動をはじめとする対イラン諜報活動が「一層激しくなっている」のだと考えられる。

11月21日には、CIAのスパイ・ネットワークがイランとレバノンで摘発され、十名以上にのぼるCIAのスパイたちが逮捕されたことも欧米メディアで大々的に報じられていた。制裁の強化によってイランを経済的に締めつける一方で、さらにイラン孤立化を狙って諜報活動を激化させるオバマ政権。政権発足当初の対話路線はもはや見る影もない。

当然こうした米国の活動に対して、イランの反発は強まり、防諜活動はもちろんのことさまざまな対抗措置や挑発行動をとることが予想される。そしてそれが思わぬ軍事衝突に発展するリスクも高まる。イラン核問題をめぐる米・イラン間の緊張は劇的に高まっており、危険水域に突入している。