■本当に沖縄観光振興は可能か?
昨日、7月1日から中国人観光客への数次ビザの発給が始まりました。
外務省のプレスリリースではこのビザの発給目的は、「沖縄観光振興」です。
観光振興のために最も理想なのは、親日派で良識のあるマナーの良い大富豪の中国人が大挙してやってくることです。
そして、そのような中国人が、沖縄のリゾートホテルにゆったり滞在しながら毎日毎日、観光を楽しみながら数カ月間沖縄観光を楽しむことです。
では、果たしてそのような理想的な観光振興がこの数次ビザで実現できるのでしょうか?
この数次ビザでの沖縄観光振興が画期的な政策なのか、掛け声だけの夢や幻で終わるのか、それとも日本に多くの被害をあたえる歴史的な悪政になるのかシミュレーションしてみたいと思います。
シミュレーションするべきことは、まず、「どのような中国人が来るのか」そして次に彼らが「どのような行動を取るのか」という事です。
■シミュレーション1:どのような中国人がやってくるか?
まず最初に、どのような中国人がやってくるのかということをシミュレーションしてみたいと思います。
外務省のプレスリリースでは、数次ビザの発給対象となる中国人は、「十分な経済力を有する者」と発表しています。
私は、具体的にどのような基準なのか知りたいと思い、外務省の外国人課に問い合せてみました。
栗原さんという女性の方が対応してくれました。
「年収の基準に関しては最もハードルを高く設定していますが、具体的な数値に関しては公開していません。」
との回答でした。
まず、確認しなければ行けないのは、一般的に中国の富裕層といわれている人の年収と1回の旅行で使える金がどのぐらいかということです。
外務省の基準が明確でないので、まずはネットで探したある記事を元に富裕層の基準を考えて、シミュレーションしてみたいと思います。
<中国情報あれこれ、中国の富裕層>http://www.acw.co.jp/hobby/chi_info007.htm
<富裕層のモデル>
年収:12万元(180万円)
年収:対象人口(北京:200万人、上海:250万人)
旅行のスタイル
(7泊8日 1万元弱、15万円)※約1ヶ月分の月収
これが、一般的にいわれる中国の富裕層といわれている人の実像です。
富裕層でも日本と同じように、夫婦共稼ぎの方も多いようです。経済的に余裕もあるので、連休には、マレーシアやタイ、シンガポールなどにも旅行にいきます。機関は連休をめいっぱい使って7泊8日です。
さて、話は数次ビザにもどします。
現在の観光ビザは15日間です。中国人観光客の平均的な観光旅行は7日~8日です。
15日でもまだまだ余裕があります。今のままでも、何も不便はないわけです。
という事は、この数字ビザは、一般的にいう中国の富裕層を対象としたものでは無いということです。
日本に観光客として滞在すると平均1日で約2万円の支出が必要になるはずです。
1ヶ月滞在すると60万円の支出がかかりますので、平均的富裕層の4ヶ月分の支出がかかります。
仮に1ヶ月滞在を基準で考えると、対象となる中国人の条件は次のようになります。
条件1:1ヶ月以上仕事をしなくてもすむ。
条件2:仕事をしないで、60万円(富裕層の4ヶ月分の月収)の支出ができる。
この条件を満たすのはどのような人でしょうか?
日本ですら探す事は大変だと思います。
大成功したビジネスマンが対象かというと、ビジネスマンは忙しいので、日本で長期観光旅行をするわけがありません。もしくは、長期入国する場合はビジネス目的のビザが必要なはずです。
あと考えられるのは、中国共産党の裕福な幹部ぐらいです。しかし、現役だと15日以上も観光で遊んでいられる人はいないので、引退した人ぐらいしか考えられません。
また、そのような人が必ずしも、日本に来るとは限りません。
中国共産党の幹部などのエリートは、どちらかというとアメリカの方を好むという事を聞いた事があります。
いろいろ、シミュレーションしてみると、どうもこのマルチビザは現実的には存在しない人を対象としているということがわかりました。
たとえ、日本人を対象にしたとしてもマーケットとして認めるだけのものにはならないのです。
結局、合法的、もしくは日本人の思考の範囲ではほとんど入国者が増えないので、中国人の思考も加えて考えてみました。
以下、観光数次ビザを利用する中国人を下記にまとめました。
1.仕事をしなくても毎月60万円の支出を続けられる人。
(富裕層の4ヶ月分の月収)
※観光マーケットとしては対象とならないほど小さい。
・ 中国共産党のリタイアした幹部
・ 大成功してリタイアした元ビジネスマン
2.実質的に日本に着て仕事をする人
・ 観光客を装って日本に入国する事を仕事とする人(工作員)
・ 観光客を装って日本に入国し日本で仕事をさがす人(実質密入国)
結局増える入国者は、工作員と実質密入国者という事になります。
これ以外の対象者がわかる方は是非、教えていただきたいと思います。
まずは、対象をシミュレーションしただけで、この数次ビザは工作員と密入国者のためにあるということがわかりました。
次回は、「中国人数次ビサで中国人はどのように行動するか?」をシミュレーションしてみたいと思います。
(続く)