<河村市長“大虐殺なし”発言に中国反発…次なる“宣伝工作”に失笑>
(夕刊フジ 2012.02.27)
名古屋市の河村たかし市長(63)が、いわゆる「南京大虐殺」を否定する発言をしたことが取り沙汰されている。中国国内では批判が噴出して、報復措置を呼びかける声が高まる一方、東京都の石原慎太郎知事(79)は「河村君の言うことが正しい」と擁護した。こうしたなか、中国では「日本軍は沖縄で、琉球人民を26万人殺した」という、事実無根の報道がされていた。
河村氏が20日、名古屋市役所を表敬訪問した中国・南京市政府の代表団に語った真意は「戦闘行為があって多くの方は亡くなったが、(中国が被害者30万人とする)いわゆる虐殺はなかった」というもの。
石原氏も24日の記者会見で、南京陥落の数日後に現地に入った評論家らによる「死体はあったが、山と積むような死体は見たことがなかった」という証言を披露し、「大虐殺は違うと思う。(旧日本軍の)装備、期間で30万人を物理的に絶対殺せっこない」と語った。
最近の研究で、「南京大虐殺」は当時の中国国民党のプロパガンダ(宣伝工作)だったという研究結果も広まっているが、中国国内では次なるプロパガンダともいえる「日本軍琉球人民大虐殺」が報道されていた。
中国商務省日本問題専門家の唐淳風氏は、人民日報傘下の「環球時報」(2010年11月10日)で、「1945年の終戦間際に日本軍は現地軍に沖縄県民の皆殺しを命じ、米軍占領の直前に26万人を殺し、虐殺の規模は南京大虐殺に次ぐものとなった」と発言し、しかも「今沖縄では琉球独立運動が激化し、中国はそれを支援するべき」と結論づけているのだ。
沖縄県擁護課が76年に発表したデータ(沖縄県平和祈念資料館HPより)によると、沖縄戦の犠牲者は日本人18万8136人で、うち沖縄県出身者は12万2228人(一般人9万4000人、軍人・軍属2万8228人)とある。
一体、26万人という数字はどこから出てきたのか。私(仲村)は沖縄県で生まれ育ち、沖縄戦を経験した方が周囲に何人も存命しているが、「日本軍が沖縄県民26万人大虐殺」などを信じる人は1人もいない。
中国共産党機関紙は最近、沖縄・尖閣諸島を「核心的利益」と呼び、領土的野心を露にしている。前出した唐氏の「琉球独立運動を中国が支援すべき」という発言も、沖縄県全域に対する野心の表れではないのか。日本人はもっと、他国のプロパガンダを警戒しなければならない。
(ジャーナリスト 仲村覚)