■脱原発運動は日米安保破棄への統一戦線
■健全な議論を許さない脱原発の風潮
今、日本中で「脱原発」の大合唱が始まりつつあります。
少し冷静に考えれば、それは理想論としては魅力的ではありますけれども、現実的には技術的、経済的な課題が多く、また、自然エネルギーの買取制度も社会主義的なしくみであり、様々なリスクが潜んでいることに気がつくはずです。しかし、世間の空気はそのような議論を許さない風潮になってきています。
■沖縄の普天間基地県外移設論と全く同じ脱原発の空気
私はこれと全く同じ空気を感じたことがあります。それは、沖縄の普天間基地問題です。個別に話をすれば抑止力が必要な事は理解できる人は多いのです。しかし、マスコミの論調は見事にそれを打ち砕いてしまいます。
「そうかもしれないけれど、沖縄だけに75%の基地はひどすぎるでしょ」
「沖縄だけ差別されているんだから県外にするべきじゃないですか」
このように感情論に扇動されているのです。
現在の原発問題も全く同じように見えます。
■脱原発に動き出した「日本共産党」と「社民党」
沖縄の普天間基地県外移設運動のチャンスを作ったのは民主党政権です。鳩山由紀夫の「最低でも県外」という言葉を大号令と受け止めて、沖縄で普天間基地の県内移設反対運動を展開したのは、日本共産党と社民党系列の市民団体です。
そして現在、原子力発電を推進していた民主党政権が一転して「脱原発」へと舵を切り替えました。
鳩山由紀夫の普天間と全く同じことです。そうすると、普天間の時と全く同じことがおきる事が予想されます。「日本共産党」と「社民党」が脱原発の大キャンペーンを展開を始めます。
以下に、彼等のチラシと資料を貼り付けました。クリックしますとPDFファイルが開きますので是非御覧ください。
戦いに勝つためには敵の動きを知っておくことは重要だと思います。
【日本共産党】
【社民党】
■日本の脱原発を最も喜ぶのは中国共産党
「日本共産党」と「社民党」は「日米安保破棄」と「原発反対」を党是としてずっと訴え続けています。それは、日本の「日米安保破棄」と「原子力技術」を最も恐れている国の意図を代弁しているからです。
中国人民解放軍にとって、最も脅威なのは、米軍でもなく自衛隊でもなく日米安保なのです。それは、数十年前から変わることはありません。60年代安保闘争や70年安保闘争は彼らが扇動した代表的な運動です。そして現在では普天間闘争として継続し続けています。
実はもうひとつ中国人民解放軍が最も恐れている事があります。それは、日本が核武装する事です。当の日本はそのような事は露ほども思っていないのですが、国際情勢から見たら日本の技術力、経済力と置かれている国際情勢をみたら、当然核武装してくるだろうと見えるのです。だからこそ、日本の原子力技術を封じ込めたいのです。
つまり、脱原発というのは、沖縄でいう「基地のない平和な島」のような甘い洗脳工作用語なのです。彼らの洗脳工作は誰も反論できないポイントをうまくついてきますので、心して警戒しなければなりません。
■知らず知らずに罠にハマる統一戦線工作
彼らは、誰も反論できないスローガンをかかげて、まずは多数派工作を行います。いわゆる統一戦線工作です。ひとつの運動を起こすときに敵をも見方にしてしまうのです。
具体例をあげれば、沖縄の復帰闘争(復帰運動の実態は安保闘争です)の時は、日の丸掲揚運動を行い、運動が軌道にのり組織が固まってきた段階で「基地撤去」「安保破棄」というスローガンを新しく出してきました。
普天間闘争では、当初は「県外・国外」をスローガンにし、昨年の3月には沖縄県議会にて県外国外の意見書を共産党が提出をし、自民党も含んだ全会一致で可決しました。統一戦線工作に成功したのです。
そして、その後彼らの運動は本音を出してきます。昨年の彼らの内部資料でそれがよくわかる資料があります。
<基地地の即時閉鎖・無条件撤去を求める 新聞意見広告への賛同の呼びかけ>
沖縄県民は普天間基地の即時閉鎖・撤去を求めるたたかいを進めてきました。
その到達点は超党派による「県内移設反対」です。しかし、「移設」前提とするかぎり問題は解決できません。
沖縄のたたかいの水準をさらに引き上げ、日米両政府を追い込み、「普天間問題」を解決させるためには、「移設」から基地の存在そのものを許さない「無条件撤去」へとたたかいの原点に立ち返る必要があります。
そこで、私たちは普天間基地の閉鎖・無条件撤去を求める意見広告を掲載します。
下記の要領でとりくみますのでご賛同、ご協力をお願いします
(抜粋終わり)
上記の文章は、つまり、
「県議会で超党派で県外移設にする目的は達成した。しかしそれは敵を取り込むための方便であった。
取り込むことに成功したから、そろそろ本当の目的である「無条件撤去」にスローガンを戻そう。」
という事です。このような戦いが昨年の沖縄では行われていたのです。
一見、「沖縄の自民党は何を考えているのだろうか?」と思う事と思います。しかし、統一戦線工作は非常に巧みなのです。周りと同じように動かざるを得ない空気に囲まれるのです。
それが、これから本土にも訪れようとしています。「脱原発」というスローガンです。今、多くの国会議員が恐れているのは、次回の解散総選挙で「脱原発」解散を恐れていると思います。今、まさに、「原発推進」を政策として撃ち出す事が難しいように、沖縄では米軍ヘリが大学に墜落した時に保守系の議員であっても「県内移設」が口に出せなかったのと同じことなのです。
統一戦線工作は、安全保障や外交意識の薄い国民の生活レベルの目線での正論で包囲してきます。
「次の選挙のために脱原発を訴えて立候補するしか無い!」と思った瞬間にこの統一戦線工作に負けたという事になります。
■「脱原発」の統一戦線の後にくるもの「非核三原則の法制化」
「脱原発」のスローガンは彼らの本来の目的ではありません。もし自分が中国人民解放軍の工作部隊の隊長だったら何をするか考えてみてください。私だったら、「非核三原則の法制化」をスローガンにします。
原発の放射能の怖さを国民に十分に訴える事に成功した後に、「核兵器の放射能は原発の何万倍もあります。そんな危険なものを日本に持ち込ませないために非核三原則を法制化してしっかり米軍に守ってもらいましょう!」私なら、このように訴えます。
その時に、「いや、非核三原則の法制化はしてはならない!」その理由は、「・・・」そう簡単に答えは出てきません。
現在の日本政府の立場は、非核三原則は順守している事になっています。それでは「非核原則は遵守するけど法制化はしてはいけない」このような論陣をはることができますでしょうか?日本の安全保障の弱点でもありますので、心して準備しなければなりません。この法制化がなされたら、日本の核保有への道が閉ざされるだけではなく、安保破棄へつながるのです。最も警戒しなければならない動きです。
■今のうちから「非核三原則の法制化」に戦える運動の展開を!
私はいつも訴えておりますが、左翼の運動は計画的であり戦略的であり、タイミングを外しません。一方保守の運動は場当たり的です。しかしここまで追い詰められたいま、計画を練って逆転できる運動をしなければ未来がなくなります。
是非今のうちから、解散総選挙があった場合、脱原発の統一戦線工作に流されることなく、核兵器保有の道筋をつくるぐらいの戦略を立てて戦っていきたいものです。
(仲村覚)