まずは、5月26日付けの中央日報日本語版のニュースを御覧ください。
■金正日、中国に東海への出海権を提供
(2011年05月26日08時53分 [中央日報/中央日報日本語版])
http://japanese.joins.com/article/248/140248.html?servcode=A00§code=A00
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長と中国の胡錦涛国家主席ら中国最高指導部が、北朝鮮の後継体制安定のための政治的・経済的支援議論を決着させ、画期的な「経済協力契約(グランドバーゲン)」を事実上妥結したことがわかった。
北朝鮮から羅先(ナソン)特区を通じた中国の東海(トンヘ、日本名・日本海)への出海権確保に協力する代わりに、中国が鴨緑江(アムノッカン)河口にある北朝鮮領の黄金坪(ファングムピョン)に対する大規模開発に積極的に参加することが核心だ。これを通じ北朝鮮経済を大々的に改善させ韓国に依存しないということが金委員長の計算という分析だ。こうした内容は25日に金委員長が北京で胡主席との首脳会談を通じて集中的に議論されたものと対北朝鮮消息筋が伝えた。
(引用終わり)
続いて朝鮮日報にも類似の記事が掲載されています。
■金総書記訪中:羅先・黄金坪地域で新たな共同開発か
朝鮮日報2011/05/26 08:44:28
http://www.chosunonline.com/news/20110526000019(リンク切れ)
7回目となった北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中を前後し、中国・東北地方には中朝経済協力に関する案を盛り込んだ「中朝羅先経済貿易地帯と黄金坪経済地帯の共同開発に関する総計画要綱」と題する文書が出回っている。
A4用紙13枚からなるこの文書は、豆満江(中国名:図們江)流域の羅先(羅津・先鋒)経済特区と、鴨緑江に浮かぶ島、黄金坪の開発に関する計画が盛り込まれたもので、中国企業の投資を誘致するために北朝鮮側がばらまいたと推定される。作成したのは、両地域の開発に向けて両国政府間に設置された協議機構「中朝共同指導委員会」だ。
(引用終わり)
■日本海ルートを開拓する中国
「東海」とはどこの海かと思ったら、日本海の事を意味しています。北朝鮮が中国軍の日本海進出に協力する約束がなされたという意味です。これは、見過ごすことのできない日本の安全保障上の重大ニュースです。
では、羅先(ナソン)の位置を確認してみましょう。
北朝鮮の日本海沿岸の最北あたりに位置しています。
記事に記載されている「羅先経済貿易地帯」は羅先特別市にあります。
羅先は、2010年1月4日の最高人民会議常任委員会政令により特別市に位置づけられた中央政府の直轄市です。
最も気になるのは、そのエリアにどのような港があるかという事です。
■軍港として最適な羅津港
調べてみると、羅津(らしん)湾というところがあり、湾の入り口には大きな島もあり軍港に最適な地形になっている事がわかりました。
<羅津湾>
<羅津港>
■旧日本軍の大陸防衛戦の軍事拠点が、中国軍の日本海進出の軍事拠点になろうとしている
いま、中国が日本海進出のルートとして狙っている北朝鮮は、もともと日本の大陸進出の要所でした。
そもそも、明治維新の原動力は、日本が西洋列強の植民地になるという危機感であり、その最大の脅威がロシアのシベリア鉄道の完成でした。日本は、シベリア鉄道の完成に備えて朝鮮半島や満州など各地を近代化させていったわけです。この羅先や羅津港も時代は遅れますが、同様にソ連軍に備えて、開発した町です。
満州国が建国された時代には新しい日満間の第三のルートそして、新潟など>朝鮮北部>満州東部を通って満州へ渡ったそうです。おそらく、この羅津港から入港したのだと思います。
今回のニュースでは、今の日本は、この時代と全く逆の立場に追い込まれつつあると感じました。つまり、旧日本軍の大陸進出の軍事拠点が、中国軍の日本海進出の軍事拠点になろうとしているわけです。
私はこの事実に驚愕と悔しさを覚えずに要られません。
(仲村覚)