■尖閣の危機を回避するために6月17日の意味を考える。
6月17日の尖閣の危機が近づいてきました。
この危機を回避するためには、彼らの意図を正しく知る必要があると思います。そこで、もういちど、中国語サイトの原文を確認してみたいと思います。
<世界華人保釣連盟成立成立 中国領土の主権を死守>
http://gb.takungpao.com/hm/top/2011-01-03/418198.html
<原文>
将六月十七日定为「民间钓鱼岛日」,是因为在一九七一年六月十七日,
美日签订了私相授受的「归还冲绳协定」时,将钓鱼岛岛屿列入「归还区域」交给日本,
由此而爆发了钓鱼岛争端。联盟形容,该日是钓鱼岛的受难日,亦是中华民族的耻辱日。
他们还计划在今年五月至六月期间,组织环绕钓鱼岛一周的游轮航线,以宣示中国领土主权。
<翻訳文>
6月17日を「民間釣魚島の日」に決定します。これは1971年6月17日に発端があります。
それは日米が秘密裏に「沖縄返還協定」を締結し、釣魚島島を「返還区域」に入れて日本に返還しました。ここから釣魚島の紛争が爆発しました。
連盟はこの日は「釣魚島災難の日」であり「中華民族恥辱の日」と形容しています。
彼らはまた今年5月~6月に組織的に釣魚島の1週間をめぐる遊覧船の航路を計画し、中国領土の主権を公表します。
以上のように6月17日は沖縄返還協定調印の日です。1971年に調印されましたので、ことし2011年は、ちょうと40周年になります。
ちなみに、実際に返還されたのは1972年5月15日ですので、来年の5月15日が40周年であり、今年の5月15日は39周年という事になります。
■6月17日が「中華民族恥辱の日」という理由を詳しく知るプロパガンダ論文
いきなり、沖縄返還協定が「中華民族恥辱の日」と言われても理論に飛躍があり全く理解不能だと思います。しかし、戦いにおいて敵を知る事は重要です。そこで、かれらがどのような理屈でものを考えているのかがよくわかる中国人学者の論文がありましたので紹介させていただきます。
<「学者:日本の琉球への主権行使について>
(チャイナネット 2010-10-11 15:57:23 )
(文=陳徳恭・中国人民大学法学院兼職教授、金徳湘・清華大学国際所兼職教授)
http://japanese1.china.org.cn/politics/txt/2010-10/11/content_21098878_3.htm
上記リンク先の論文を論点ごとにわけて記載いたしました。
タイトルは、内容が分かりやすくなるように私が記載いたしました。
以下の内容は、今後知っておくことが必要になると思いますので、是非熟読をお願いいたします。
<勝手な解釈1:「琉球は古来よりわが国の領土であり、一時的に日本に占領された」>
周知の通り、琉球は古来よりわが国の領土であり、一時的に日本に占領された。明洪武五年(公元1372年)から、琉球は自らを「臣」として、中国に対し「方物」(土地の産物)を献上(朝貢)、その冊封関係を500年維持していた。1871年、日本は武力で琉球を占領したが、当時の清政府はこれを認めなかった。
<勝手な解釈2:「カイロ宣言」>
1943年12月1日に発表された「カイロ宣言」では、「三大同盟国(英、米、華)の目的は、日本国から、1914年の第一次世界戦争の開始以後において日本国が奪取し又は占領した太平洋における一切の島しょを剥奪すること、並びに満州、台湾及び澎湖島のような日本国が中国から武力又は貪欲で盗取した一切の地域を中華民国に返還することにある。」最後の一文が琉球を示していることに注意して欲しい。
<勝手な解釈3:「ポツダム宣言」>
「ポツダム宣言」では、日本国の主権は4つの大きな島ならびに諸小島に限ると明確に規定している。1946年2月2日、マッカーサーは同盟国日本占領および管理最高司令部名義で、日本政府の行政区域は北緯30度を限度に、本州などの四つの島及びその付近の千の小島に限るという声明を出した。琉球諸島の位置は北緯30度以南で、この声明の指定範囲にないことは明らかである
<勝手な解釈4:「『サンフランシスコ条約』による米国の領有施政権は違法」>
1946年11月、米国は国連に琉球諸島及び小笠原諸島を米国の戦略的支配の下に置くことを提案した。国連安保理は1947年4月2日に上述の提案を可決、「旧日本委任統治領の南太平洋諸島をアメリカ信託統治領とすること」を公布した。つまり、琉球は「第二次世界大戦で敵国から奪取した土地」であったが、国連の信託統治の下に置かれたことで、日本の琉球に対する違法領有権は既に剥奪されたのである。所謂「サンフランシスコ講和条約」によっても、日本は米国から取得している琉球施政権は違法である。
<勝手な解釈5:「違法な『サンフランシスコ条約』を根拠にした『沖縄返還』はでたらめ>
1971年6月17日、米日はまた「沖縄返還」協定に署名し、「アメリカ合衆国は、琉球諸島に関し、「サンフランシスコ講和条約」第3条の規定に基づくすべての権利及び利益を日本国のために放棄し、その全ての権利を日本国は引き受ける。」ことを表明した。しかし実際には、サンフランシスコ講和条約」以前に、米国は1947年4月2日の国連「旧日本委任統治領の南太平洋諸島をアメリカ信託統治領とすること」の決定により、既に国連から琉球の信託統治権を得ている。だから、このような「返還」は全くのでたらめである。
<勝手な解釈6:「沖縄は国連に信託統治された時点で日本の領土ではない。」>
「国際連合憲章」第78条に、「国際連合加盟国の間の関係は、主権平等の原則の尊重を基礎とするから、信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しない。」と規定されている。信託統治された時点で、日本の領土ではないのである。
<勝手な解釈7:「沖縄返還協定は国連憲章違反」>
「国際連合憲章」第79、83、85条の規定には、「信託統治制度の下におかれる各地域に関する信託統治の条項は、いかなる変更又は改正も含めて、安全保障理事会又は国連総会に承認されなければならない」とある。米日「琉球返還」協定は、完全に二国間でのやり取りであり、合法性があるとは言えない。
以上が、中国側のプロパガンダ理論です。
今後、一つ一つ論破していく必要がありますが、今回は省略して次の論点へ進みます。
■6月17日を選んだのは外交交渉で「沖縄返還協定無効理論」を日本政府にねじ込むため
上記の理論は、中国の勝手な解釈ではありますが、かなり練りこまれた理論になっていると感じます。そして、6月17日を選んだのは「沖縄返還協定」無効を訴えるためだという事がわかります。
その理論をつくるために、明治政府の琉球処分(沖縄の廃藩置県)までさかのぼって理論を組み立てています。このような論文は尖閣諸島の漁船の衝突事故が起きた直後から次々と発表されています。おそらく、外交交渉に於いても日本をねじ伏せるための理論を準備した上で衝突させたのだと思います。
■中華人民共和国「沖縄返還協定は国連憲章違反」を安保理に持ち込み危険性がある。
更に気をつけなければならない事があります。中華人民共和国は、国連安保理の常任理事国ですので、尖閣紛争に火がついたタイミングで「沖縄返還協定は国連憲章違反」を安保理に持ち込み危険性があるということです。今、日本政府はこのような事まで想定して、しっかりと理論武装して対策を打たなければなりません。
■全国の左翼の米軍基地撤去の一斉行動日となっている「沖縄祖国復帰記念日」
しかし、理論武装だけでは不十分だとおもいます。結局沖縄県民の姿勢が重要です。沖縄が祖国に復帰してよかったと思っているのかどうかが重要です。そして、それを形にして見せなければなりません。
実は驚く事に、これまで5月15日の沖縄祖国復帰記念日には沖縄では何の式典も開催されていません。集会やイベントを行っているのは、反戦平和の左翼団体のみです。
ちなみに、去年の5月15日には全国各地で沖縄と連帯した普天間基地抗議活動が行われました。
<ニュース:沖縄本土復帰38年、基地縮小求め県民大会>
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100515-OYT1T00586.htm
<動画:本土復帰38年 沖縄で米基地撤去訴え平和行進>
つまり、「沖縄返還は日米両政府に米軍基地を押し付けられた屈辱の日」とされているのです。これは、非常に危険な事です。何故なら華人連盟の「沖縄返還は中華民族の屈辱の日」という理論と一致するからです。そして、それを「中華琉球民族」という言葉で統一させようというシナリオが見えるからです。
おそらく、今年の5月15日も左翼集団は全国で普天間基地闘争、もしくはメア元日本部長に対する抗議など反基地、反米闘争を大々的に行うものと考えられます。
これを放っておくと、「沖縄県民は沖縄返還を喜んでいない」という事になり、「沖縄返還無効論」を応援する事になってしまいます。
■最大の反撃は「沖縄祖国復帰記念日」を祝う事
「沖縄返還無効論」に対する最大の反撃は「沖縄祖国復帰記念日」を祝う事です。沖縄で日の丸を掲揚して、沖縄が奇跡的に祖国日本に復帰出来た事を祝うことです。そして、日本人である事を誇りに思い、日本と共に繁栄していくことを望む事です。
■来年は「日中国交回復40周年」の年ではなく「沖縄祖国復帰40周年」の年にしよう!
特に来年の5月15日は、「沖縄祖国復帰40周年」の最も重要な年です。来年、私たちが何もしないでいると日本政府は沖縄の祖国復帰を忘れて、「日中国交回復40周年記念」ばかりをお祝いする可能性が大きいのではないかと感じています。
それは、許してはならないと思います。何故なら、沖縄を中国に渡す良い口実として使われる危険性が高いと感じるからです。勝手な想像ではありますが、中国側から『日中国交回復40周年記念』の記念の年に尖閣問題により亀裂の入ったに日中関係を修復し、深化をすすめるために、「日中交流深化特区』として沖縄と文化的、経済的交流を図りましょう!」等と猫なで声でやってきて、新しい条約を締結したり、一国二制度の法律を作り沖縄の中国化を進める危険性を感じるのです。
ですので、来年は「日中国交回復40周年」の年ではなく「沖縄祖国復帰40周年」の年にしなければならないと思うのです。更に、沖縄だけで祝うのではなく、全国各地で同時に「沖縄祖国復帰40周年」を祝うことにより、中国の沖縄侵略工作の正当性を打ち砕く事ができるのです。
(JSN代表 仲村覚)