ここ数回にわたり、中国共産党の琉球奪還工作の本音が見える「中華民族琉球自治区援助準備委員会公告」について報告してきました。そこで、彼らの手の打ち方を見ているといたる所に罠があり、その巧妙さには驚かされるばかりです。
特に日本にとって、一番大きな失敗は、「日中共同声明」です。この時点で日本は、中国の隷属国家への道を歩き始めていたように感じます。
ポツダム宣言やカイロ宣言を確認しても、そこに参加していたのは、国民党の蒋介石であり、中国共産党政府は全く関係ありません。逆に、中共軍は、蒋介軍石と内戦を戦っていて敵対関係にあったわけです。ですので、「それらの条約にあなた達は関係ないでしょ!」といいたくなります。
しかし、それを可能にしたのが「日中共同声明」なのです。
<日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明>
一. 日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。
二. 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三. 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
以下省略
問題は、二条と三条です。
二条には、「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府」である事を承知する。とあります。
ポツダム宣言もカイロ宣言も参加していたのは中華民国だったのですが、何故かそことの関係を断絶し、戦時中も終戦時も何の関係も無かった中国共産党がポツダム宣言やカイロ宣言に参加していたと認めるという、まるで魔術なような条約になっています。
そして、更に日本の国益を失うのが第三条です。
「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」という文言で、日本は自ら中国の領土でなかった台湾の主権を完全に放棄してしまいました。そして、「日本は、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」と書かれています。日本は、中国共産党と戦った記憶はありません。しかし、日本は「敗戦時のポツダム宣言の立場を堅持する」と約束をしてしまったのです。つまり、戦後、27年経過しているにもかかわらず、中国共産党と「敗戦条約」を締結したようなものなのです。つまり、日本はもう一度戦争に負けた事を確認して、台湾を放棄する事を約束させられたのです。
これが、実は「中国共産党の第一期政治工作」の成果だったのです。
そして、今回さらに沖縄を放棄することを約束させようとしてきているのです。その根拠がカイロ宣言だと思われます。
<カイロ宣言>
同盟国の目的は、1914年の第一次世界戦争の開始以後に日本国が奪取し又は占領した太平洋におけるすべての島を日本国からはく奪すること、並びに満洲、台湾及び澎湖島のような日本国が清国人から盗取したすべての地域を中華民国に返還することにある。
日本国は、また、暴力及び強慾により日本国が略取した他のすべての地域から駆逐される。
前回のメルマガでこのカイロ宣言は無効だと考えられますが、今回はあえて、彼らの理屈を理解してみたいと思います。
最も重要なところが、「満洲、台湾及び澎湖島のような日本国が清国人から盗取したすべての地域を中華民国に返還することにある。」です。彼らはここでいう、「清国人から盗取したすべての地域」に沖縄、琉球がはいると主張していると思われます。そして、返還先は、「中華民国」となっていますが、正当な中国政府は「中華人民共和国」とみとめさせています。ですので、カイロ宣言に基づき、琉球を清国の正当な後継国である中華人民共和国に返せ!という理屈になります。
今後、日本人全員でこの理屈に論破していく体制をつくらなければならなりません。
(JSN代表 仲村)