JSN■尖閣危機真っ只中における今年度の日米合同演習について
まずは、昨日のニュースを御覧ください。
日米合同訓練を公開 ヘリボン訓練やIT戦の検証も
(MSNサンケイニュース:2010.11.5 17:24)
北海道上富良野町の上富良野演習場で行われている陸上自衛隊と米陸軍との共同訓練の模様が5日、報道陣に公開され、ヘリコプターによる迫力ある作戦が展開された。
この日、午前中に公開されたのは、空中機能作戦のひとつであるヘリボン訓練。陸自による訓練に続いて、米軍がヘリ降下から陸上で展開する作戦が繰り返された。今年度はこれが唯一の日米共同訓練で、米軍はミズーリ州兵280人、陸自は第2師団450人が参加。5日までの機能訓練の後、8日から10日まで総合訓練が行われる。第2師団の橘木耕治広報室長は「米軍のノウハウを吸収するとともにお互いにスキルアップすることができれば」と話した。
この日午後には同じ上富良野演習場で、IT技術の進歩に伴い、各種の指揮統制、通信装備品などを使用して将来の戦い方を研究する実動検証も公開された。
(引用終わり)
この記事で私は自分の目を疑うような文言がありました。それは、「今年度はこれが唯一の日米共同訓練」という文言です。そこで、防衛庁の報道発表を確認しました。
【防衛庁報道発表より】
平成22年度の日米共同訓練(米海兵隊との実動訓練)の概要について
http://www.mod.go.jp/gsdf/news/press/2010/1021.html
陸上自衛隊は、次により平成22年度の日米共同訓練(米海兵隊との実動訓練)を実施するので、お知らせ致します。
1.目 的
陸上自衛隊及び米海兵隊の部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における連携要領を実
行動により訓練し、相互運用性の向上を図る。
2.期 間
平成22年12月6日(月)~12月15日(水)10日間
3.場 所
霧島演習場
担任官
(1) 日本側:第8師団長 陸将 寺芳治
(2) 米軍側:第3海兵機動展開部隊副司令官 准将 マーク.アンドリュー.ブリラキス
4.訓練実施部隊
(1) 陸上自衛隊
ア 第43普通科連隊基幹
イ 人 員 約550名
ウ 主要装備 89式5.56㎜小銃、5.56㎜機関銃MINIMI、対人狙撃銃、84㎜無反動砲、81㎜迫撃砲L-16、79式対戦車誘導弾、87式対戦車誘導弾、01式携帯対戦車誘導弾、110㎜個人携帯対戦車弾(LAM)、74式戦車、対戦車ヘリコプター(AH-1S)、観測ヘリコプター(OH-6)、多用途ヘリコプター(UH-60、UH-1)、輸送ヘリコプター(CH-47)ほか
(2) 米海兵隊
ア 第31海兵機動展開隊の1コ中隊基幹
イ 人 員 約230名
ウ 主要装備 5.56㎜小銃(M16/M4)、5.56㎜機関銃(M249)、7.62㎜機関銃(M240B)、9mm拳銃(M9)、対戦車ロケット(SMAW)、60㎜迫撃砲(M224)ほか
平成22年度日米共同方面隊指揮所演習(日本)の大要について
http://www.mod.go.jp/gsdf/news/press/2010/1021.html
陸上自衛隊は、平成22年度日米共同方面隊指揮所演習(日本)を次のとおり実施するので、お知らせ致します。
1.目 的
陸上自衛隊及び米陸上部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における方面隊以下の
指揮幕僚活動を演練し、その能力の維持・向上を図る。
2.期 間
平成23年1月下旬
3.場 所
健軍駐屯地等
4.演習参加部隊
(1) 日本側:西部方面隊等
(2) 米軍側:第1軍団、太平洋陸軍司令部、在日米陸軍司令部等
問い合わせ先
陸上幕僚監部広報室(03-3268-3111)
(引用終り)
以上のように、防衛省が現在発表しているだけで、日米合同演習は2回、実施される予定です。つまり、産経新聞の報道は、正確ではなかったということになります。
12月6日から、九州の霧島演習場で行われる演習は、西部方面隊と沖縄の海兵隊の合同演習です。先程、西部方面隊に勤務している現役の自衛官の先輩に、近況をきいたところ、現在行われている、訓練はほどんと、沖縄の有事を想定しているとのことです。
尖閣有事の際、奪還に動くのは陸上自衛隊西部方面隊なのです。そして、その部隊と同盟国の沖縄に駐屯している第31海兵隊遠征隊が共同演習を行うわけです。日本政府は、日米同盟の重要さを全くわかっておりませんが、現場レベルでは、しっかり日米合同で尖閣諸島・沖縄を防衛する訓練が行われているわけです。
次に、来年1月下旬から、熊本の健軍駐屯地で行われる演習は、指揮所演習です。指揮所演習と言ってもイメージできる方は少ないとおもいますので、下記に昨年の指揮所演習の動画を2件貼りつけておきました。是非御覧ください。
私は、この訓練は日米同盟で最も重要な訓練だと思います。何故なら、米軍の参加部隊は、在日米軍司令部だけではなく、太平洋陸軍司令部が参加しているからです。太平洋軍司令部は、ハワイにあり、第三艦隊、第七艦隊も所属しており、米国西岸から東アジア、オーストラリアを管轄しています。在日米軍だけではなく、在韓米軍もその指揮下にあります。また、米軍は駐屯はしていませんが、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピンとは条約を結んでおり、同盟関係にあります。
そのような部隊と指揮所訓練を行うのですから、東アジアにとって日米同盟は、共有財産といえるのです。このような、重要な同盟関係を沖縄に集結した左翼勢力に扇動されて失うような事は決してあっては、ならないことなのです。
(JSN代表 仲村)
平成21年度日米共同方面隊指揮所演習 YS-57
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